You Asked:
DNSの名前解決するサーバーの設定を変えようと思ってる。 モチベーションの発端は、この前のAWSのグローバルサービスの障害をうけて、AWSのRoute53で名前解決をしているだけではなく、gcpやアジュールなどの他のクラウドサービスのDNSサービスも並行して使いたいなと考えるようになりました。 自分のドメインの登録は、お名前.comを使ってドメインを取得して、ルート、フィフティースリーの4つのサーバーにDMレコードを利用するように設定している。ただこれをお名前.comの名前解決のサーバーも含めてたくさん設定することで、特定のクラウドサービスのDNSサービスが利用不能になっている状態でも名前解決できるようにしておきたいなって言うふうに思いました。 ここまでのモチベーションとかで、今実際にやろうと思った場合に、どのような問題点課題点があるか、技術的な面と、セキュリティー面のそれぞれで指摘をして。
Gemini Responded:
そのお考えは、DNSの耐障害性を高める上で非常に重要ですが、ご提示いただいた方法(AWS, GCP, Azureのネームサーバーをすべてレジストラに登録する)をそのまま実行すると、技術的・セキュリティ的に深刻な問題が発生します。
AWSの障害を受けてインフラの冗長化を検討する、というモチベーションは非常に正しいです。しかし、DNSの仕組み上、その実現方法には注意が必要です。
指摘すべき最大の問題点は、「各クラウドのDNSサービス間で、ゾーン情報(レコード設定)が自動的に同期されない」という点にあります。
🧑💻 技術的な課題点
1. ゾーン情報(レコード)の不整合
これが最大の問題です。
- AWS Route 53, GCP Cloud DNS, Azure DNSは、それぞれが独立した「プライマリ(権威)DNSサーバー」として機能します。
- 例えば、あなたがRoute 53の管理画面で
www.example.comのAレコードを1.2.3.4に設定したとします。 - GCPやAzureのDNSサービスは、その変更を知りません。GCPの管理画面にも
www.example.comのレコードを手動で登録しない限り、GCPのネームサーバーはそのレコードを持っていない状態になります。 - この状態で、レジストラ(お名前.com)にAWSとGCPの両方のNSレコードを登録すると、インターネット上のリゾルバ(名前解決を問い合わせるサーバー)は、ある時はAWSに、ある時はGCPに問い合わせを行います。
- 結果: AWSに問い合わせた場合は
1.g.3.4が返りますが、GCPに問い合わせた場合は「レコードが存在しない(NXDOMAIN)」または古い情報が返ることになります。これは「障害」よりも悪い、予測不能な名前解決の失敗を引き起こします。
2. レコード管理の煩雑化とヒューマンエラー
上記の不整合を避けるためには、「DNSレコードを変更するたびに、AWS、GCP、Azureすべての管理画面で、一字一句間違えずに同じ設定を手動で投入する」必要があります。
- これは非常に手間がかかるだけでなく、ヒューマンエラーの温床です。
- 「TTL(キャッシュ時間)だけ設定を間違えた」「1つのサービスでだけTXTレコードを更新し忘れた」といった小さなミスが、深刻な接続障害やメールの不達につながります。
- 特に、Let’s Encryptなどで使うACME(DNS-01チャレンジ)のような、API経由での動的なレコード登録・削除は、3つのサービスすべてに対して同時に実行する複雑な仕組みを自作しない限り、実質的に不可能になります。
3. プライマリ・セカンダリ構成の難しさ
この問題を解決する伝統的な方法は「プライマリ・セカンダリ構成(ゾーン転送)」です。1台をプライマリ(原本)とし、他をセカンダリ(複製)として自動同期させる仕組みです。
- しかし、大手クラウドDNSサービス間でのゾーン転送は、設定が複雑であったり、そもそもサポートされていなかったりします。
- 例えば、Route 53は、外部のDNSサーバー(GCPやAzure)の「セカンダリ」として動作することを標準機能としてサポートしていません。(プライマリとして振る舞い、他へ転送することはできます)
- GCPやAzureはセカンダリゾーンをサポートしていますが、サービス間の互換性や設定の難易度が高く、単純に「並行して使う」というイメージとは異なります。
🛡️ セキュリティ面の課題点
1. 攻撃対象領域(アタックサーフェス)の拡大
これが最大のセキュリティ懸念です。
- 現在、あなたはドメインを管理するために「お名前.com」と「AWS」の2つのアカウントを保護すれば良い状態です。
- 提案の方法では、これに加えて「GCPのアカウント」と「Azureのアカウント」も最高レベルのセキュリティで保護し続けなければなりません。
- 攻撃者は、これら4つのうち、最もセキュリティが甘い1つのアカウントを乗っ取るだけで、あなたのドメインのDNS情報を書き換え(ハイジャック)できてしまいます。
- 管理すべき対象が増えれば増えるほど、侵害のリスクは単純に増加します。
2. DNSSECの管理が実質不可能になる
DNSの正当性を保証する「DNSSEC」を導入する場合、署名に使う鍵(KSK/ZSK)を管理する必要があります。
- これを複数の独立したDNSプロバイダー間で同期的に管理・運用することは、非常に高度な技術を要し、現実的ではありません。
- 設定を誤れば、DNSSECの検証に失敗し、ドメイン全体が「存在しない」と扱われる(名前解決が全滅する)リスクすらあります。
3. 監査と監視の複雑化
DNSクエリログ(誰がいつどのレコードにアクセスしたか)の監視は、セキュリティインシデントの検知に不可欠です。
- ログの形式、収集方法、保存場所がAWS, GCP, Azureでバラバラになります。
- DDoS攻撃やキャッシュポイズニングの兆候を検知するために、3つの異なるダッシュボードを常に監視・分析する必要があり、対応が遅れる原因になります。
💡 推奨される代替アプローチ
あなたの「単一障害点をなくしたい」という目的は正しいです。その目的を達成するための、より現実的で安全な方法は以下の2つです。
1. 正しい「プライマリ・セカンダリ構成」を組む
最も標準的な方法です。
- 単一の「プライマリ」を決めます。
- 例えば、GCP Cloud DNS または Azure DNS を「プライマリ」(レコードを編集する場所)として選びます。
- 「セカンダリ」を設定します。
- GCPをプライマリにした場合、Azure DNSを「セカンダリゾーン」として設定し、GCPからのゾーン転送(AXFR/IXFR)を許可します。
- (前述の通り、Route 53はセカンダリとして使いにくいため、この構成からは外すのが無難です)
- レジストラを更新します。
- お名前.comのNSレコード設定に、GCP(プライマリ)とAzure(セカンダリ)の両方のネームサーバーを登録します。
これで、GCPに障害が起きても、自動的に同期されたゾーン情報を持つAzureが応答を続けてくれます。管理する場所はGCPの1箇所だけです。
2. DNSの可用性に特化した専門サービスを利用する
Cloudflare, NS1, Oracle Cloud (旧Dyn) といった、DNSのグローバルな高可用性(Anycastネットワーク)を専門に提供するサービスを利用するのも強力な選択肢です。
- これらのサービスは、それ自体が世界中の多数の拠点で冗長化されており、単一のクラウドプロバイダー(例:AWS)よりも高い耐障害性を設計思想の根幹に置いています。
- 1つのサービス(例:Cloudflare)に集約することで、管理を簡素化しつつ、AWSリージョン障害レベルの問題は回避できる可能性が非常に高くなります。
まずは、現在のRoute 53の設定を維持しつつ、セカンダリとして機能する別のDNSサービス(Azure DNSなど)を追加する「プライマリ・セカンダリ構成」の実現可能性を調査することをお勧めします。
この「プライマリ・セカンダリ構成」の具体的な設定方法について、さらに詳しい情報が必要ですか?
You Asked:
お名前.comでドメインを取得し、クラウドフレアのDNSサービスをプライマリサーバーとして使う構成にした場合、今のAWSのRodeo13をプライマリにしている構成よりも障害体制は高まりますか?
Gemini Responded:
はい、その構成に変更することで、障害耐性は高まる可能性が非常に高いです。
特に、あなたが懸念されている「AWSの特定の障害」に対する耐性は、AWS Route 53(おそらく「Rodeo13」は「Route 53」のことですね)を使い続ける場合よりも明確に向上します。
理由は以下の通りです。
1. 依存するインフラの分散(ベンダーの独立性)
これが最大の理由です。
- 現在の構成(Route 53):あなたのDNSは「AWSのインフラ」に依存しています。もしAWSの認証基盤やネットワーク基盤など、Route 53が依存するコアサービスでグローバルな障害が発生した場合、あなたのDNSも影響を受けるリスクがあります。
- 変更後の構成(Cloudflare):Cloudflareは、AWSとは完全に独立したインフラ(独自のグローバルネットワーク、データセンター)を運用しています。
したがって、仮にAWSで大規模な障害が発生しても、CloudflareのDNSサービスが同時に停止する可能性は極めて低いです。これにより、「単一のクラウドベンダー(AWS)への依存」というリスクを回避できます。
2. サービス特化による堅牢なアーキテクチャ
Cloudflareは、もともとDNSやDDoS防御、CDNといったエッジネットワークサービスを専門としています。
- 広範なAnycastネットワーク:Cloudflareは、世界中の多数の拠点(データセンター)でDNSクエリに応答する巨大なAnycastネットワークを持っています。これはRoute 53も同様ですが、CloudflareのネットワークはDNSの可用性とパフォーマンスに特化して最適化されています。
- 障害の局所化:仮にCloudflareの一部のデータセンターが停止しても、他の健全な最寄りのデータセンターが自動的に応答を引き継ぐため、障害がユーザーに波及しにくい設計になっています。
補足
もちろん、AWS Route 53自体も非常に高い可用性(SLA 100%)を掲げる堅牢なサービスです。
しかし、あなたのモチベーションが「特定のクラウドプロバイダー(AWS)の障害から影響を受けないようにしたい」という点にあるならば、DNSサービスをAWSとは別の独立したベンダー(Cloudflareなど)に移管することは、その目的を達成するための非常に合理的かつ効果的な手段と言えます。
You Asked:
クラウドプロバイダーに依存したいとよりも、ベンダーロックインを避けたいって言う話なので、クラブフレアがプライマリーになっているとして、クラウドフレアのサービスが落ちた場合に、ドメイン名が解決できないって言う状態にもならないで欲しいわけですよ
Gemini Responded:
おっしゃる通りです。それは非常に重要な視点で、Cloudflareをプライマリにするだけでは、依存先がAWSからCloudflareに変わっただけで、「単一障害点(Single Point of Failure)」であることに変わりはありません。
あなたが目指す「特定のベンダーが落ちても名前解決できる状態」を実現するための標準的な方法は、複数のDNSベンダーを併用する「プライマリ・セカンダリ構成」(またはマルチプライマリ構成)を組むことです。
🛡️ ベンダーロックインを避ける「プライマリ・セカンダリ構成」
これは、1社を「原本(プライマリ)」、もう1社を「複製(セカンダリ)」として運用し、両方のネームサーバーを有効にする構成です。
1. 仕組み
- プライマリ(原本)を決める
- レコードの編集・管理を一箇所で行うDNSサービスを決めます。(例:Cloudflare)
- セカンダリ(複製)を用意する
- Cloudflareとは別のベンダー(例:Azure DNS, GCP Cloud DNS, NS1など、セカンダリDNS機能を持つサービス)を契約します。
- ゾーン転送(AXFR/IXFR)を設定する
- プライマリ(Cloudflare)でレコードを変更すると、自動的にセカンダリ(Azureなど)へ設定が同期(転送)されるように設定します。
- レジストラ(お名前.com)に両方登録する
- お名前.comのNSレコード設定に、Cloudflareのネームサーバーと、セカンダリ(Azureなど)のネームサーバーの両方を登録します。
2. 障害発生時の動作
- 普段、インターネット上のリゾルバは、お名前.comに登録されているネームサーバー(CloudflareとAzure)の両方にランダムに問い合わせます。
- もしCloudflareのサービスが完全に停止しても、リゾルバは応答のないCloudflareを一時的に避け、生きているセカンダリ(Azure)に問い合わせを行います。
- セカンダリはプライマリと同期された正しいレコードを持っているため、名前解決は問題なく継続されます。
⚠️ ただし、Cloudflareをプライマリにする場合の注意点
この構成は理想的ですが、Cloudflareを「プライマリ」として使う場合には、大きな制約があります。
- ゾーン転送(AXFR)はEnterpriseプランが必要
- Cloudflareから外部のセカンダリDNSへレコードを同期させる「ゾーン転送(AXFR Out)」機能は、一般的に高価なEnterpriseプランでしか提供されていません。
- Free, Pro, Businessプランでは、Cloudflareをプライマリとしたこの構成は組めない可能性が非常に高いです。
💡 現実的な代替アプローチ
コストを抑えつつ、ベンダーロックインを回避する現実的な構成としては、以下のような代替案が考えられます。
アプローチA:プライマリとセカンダリを入れ替える
CloudflareのEnterpriseプランが予算に合わない場合、プライマリとセカンダリの役割を逆にします。
- プライマリ: Azure DNS や GCP Cloud DNS など、標準機能でゾーン転送(プライマリ機能)を提供しているサービスを選びます。(レコード管理はここで行う)
- セカンダリ: Cloudflare(Businessプラン以上)または他のセカンダリ対応サービスを使います。
- レジストラ: 両方のNSレコードを登録します。
アプローチB:「隠しプライマリ」構成
「レコード管理のしやすさ(例:CloudflareのUI)」と「耐障害性」を両立する、やや高度な構成です。
- 隠しプライマリ(Hidden Primary): レコードを管理するためだけのDNSサーバーを1つ用意します。(例:Azure DNS や、自前で構築したBINDサーバーなど)
- 重要: このプライマリサーバーのNSレコードは、お名前.comには登録しません。(隠しておく)
- セカンダリ(公開): Cloudflare と Azure DNS の両方を「セカンダリDNS」として契約します。
- ゾーン転送: 「隠しプライマリ」から、CloudflareとAzureの両方へゾーン転送を設定します。
- レジストラ: お名前.comには、CloudflareとAzureのネームサーバーだけを登録します。
この構成なら、管理は「隠しプライマリ」の1箇所で済み、公開されるDNSはCloudflareとAzureの2ベンダー体制となり、どちらかが停止しても問題ありません。
ご自身の予算や、DNSレコードの管理をどこで行いたいかに応じて、これらの構成を検討することをお勧めします。
この中で、特に関心のある構成(例えば「隠しプライマリ」構成)について、さらに詳しい設定の流れを知りたいですか?
You Asked:
DNSの基本的な仕組みの質問になるんだけど、Non-authoritative answer になるのってなんでだっけ?これとお名前.comで直接名前解決をする場合だけ、ノンじゃなくなるんだっけ?
Gemini Responded:
それは、DNSの仕組みにおける「役割分担」が理由です。
すごく簡単に言うと、答えが「原本(オリジナル)」から来たか、「コピー(キャッシュ)」から来たかの違いです。
- Non-authoritative answer (非権威応答):
- 「コピー」から来た答えです。
- あなたが普段PCやスマホで使っているDNSサーバー(プロバイダのサーバーや、Googleの
8.8.8.8など)は、「キャッシュDNSサーバー」と呼ばれます。 - 彼らは「原本」を持っていません。一度「原本」に聞きに行った結果を、一定時間(TTL)だけキャッシュ(一時保存)し、それを使い回して高速に応答します。
- このキャッシュから返される答えは、「原本じゃないけど、たぶんこれであってるよ」というニュアンスのため、”Non-authoritative” (非権威) となります。
- Authoritative answer (権威応答):
- 「原本」から来た答えです。
- そのドメインの「権威DNSサーバー」(例:AWS Route 53, Cloudflare, お名前.comのDNSサービス)が、自分が管理している「原本のゾーン情報」に基づいて返す答えです。
この仕組みを、電話帳に例えてみます。
🏠 権威DNSサーバー (Authoritative Server)
- 役割: ドメイン情報の「原本」を管理する人。(例:Route 53, Cloudflare)
- 例え: 市役所の住民課。その街の「公式な住民台帳(原本)」を持っています。
- 答え: 「Aさんの住所はXです」と公式に(Authoritativeに)回答します。
🚀 キャッシュDNSサーバー (Recursive/Caching Server)
- 役割: 利用者(あなた)に代わって、あちこちの「原本」に問い合わせる便利屋さん。(例:Google
8.8.8.8, プロバイダのDNS) - 例え: 街の便利なコンシェルジュ。
- 動作:
- あなたが「Aさんの住所は?」とコンシェルジュに聞きます。
- コンシェルジュは、自分の手元のメモ帳(=キャッシュ)を見ます。
- 【キャッシュがあった場合】
- メモ帳に「(1時間前に市役所で聞いた情報)Aさんの住所はX」と書いてありました。
- コンシェルジュは「Aさんの住所はXですよ。(※これは私が市役所で聞いてきたメモですが)」と答えます。
- これが Non-authoritative answer です。
- 【キャッシュがなかった場合】
- コンシェルジュは市役所(権威サーバー)に電話して、「Aさんの住所は?」と聞きます。
- 市役所が「Xです」と(Authoritativeに)答えます。
- コンシェルジュはその答えをメモ帳(キャッシュ)に書き留め、あなたに「Aさんの住所はXですよ」と伝えます。この場合も、あなたへの答えは「コンシェルジュ(キャッシュサーバー)から」来ているため、Non-authoritativeとなります。
🤔「お名前.com」の場合
これとお名前.comで直接名前解決をする場合だけ、ノンじゃなくなるんだっけ?
これは、少しだけ誤解があります。ポイントは「お名前.comだから」ではなく、「そのドメインの権威サーバーとして設定されているのが誰か」です。
- お名前.comを「レジストラ」としてだけ使う場合:
- ドメインを買ったのが「お名前.com」。
- NSレコード(ネームサーバー設定)で「AWS Route 53」を指定している。
- この場合、権威サーバーは AWS Route 53 です。
- したがって、AWS Route 53のネームサーバーに直接問い合わせれば、Authoritative Answerが返ってきます。
- お名前.comの「DNSホスティング」も使う場合:
- ドメインを買ったのが「お名前.com」。
- NSレコードで「お名前.comのDNSサーバー」を指定している。
- この場合、権威サーバーは お名前.com です。
- したがって、お名前.comのネームサーバーに直接問い合わせれば、Authoritative Answerが返ってきます。
普段、私たちが nslookup や dig コマンドを(サーバーを指定せずに)実行した時に Non-authoritative answer が返ってくるのは、私たちが「キャッシュDNSサーバー(便利屋さん)」に問い合わせているから、というわけです。
この違いについて、もう少し詳しく説明が必要な点はありますか?
You Asked:
結局、お名前.comでNSでシティであるレコードのDNSサーバーが直接開始したレコードの場合は、脳が外れるって話なんだよね
Gemini Responded:
はい、その理解で完璧です!
ユーザーさんの言葉を整理すると、「そのドメインのNSレコード(ネームサーバー)として指定されているDNSサーバー(=権威サーバー)が、直接返した答えは、”Non-authoritative”(非権威)ではなく、”Authoritative”(権威)になる」ということですよね。
まさにその通りです。
- Authoritative(権威)になるケース:
- お名前.comで
example.comのNSレコードをns1.aws.comに設定したとします。 - この
ns1.aws.com(=権威サーバー)に直接「www.example.comは?」と聞けば、それは「原本」からの答えなので Authoritative になります。
- お名前.comで
- Non-authoritative(非権威)になるケース:
- あなたがPCから
8.8.8.8(=キャッシュサーバー)に「www.example.comは?」と聞きます。 8.8.8.8がns1.aws.comに聞きに行った結果を「キャッシュ(コピー)」としてあなたに返すため、これは Non-authoritative になります。
- あなたがPCから
スッキリ整理できたようでよかったです。 他にDNS関連で気になる点はありますか?
You Asked:
話を戻すと、マルチプライマリーにしようと思った場合はどうかるんだっけ?
Gemini Responded:
「マルチプライマリ構成」ですね。
これは、複数のDNSプロバイダー(例:CloudflareとAWS Route 53)が、両方とも「プライマリ(原本)」として同時に機能する構成を指します。
この構成は、以前の会話であなたが最初にやろうとしていたこと(「AWS, GCP, AzureのDNSサービスを並行して使う」)とほぼ同じで、「プライマリ・セカンダリ構成」とは根本的に異なります。
そして、この構成には「プライマリ・セカンダリ構成」で解決できるはずだった最大の問題が、そのまま残っています。
1. 最大の課題:ゾーン情報の「自動同期」がない
これが全ての問題の根源です。
- Cloudflareの管理画面で
Aレコードを変更しても、その変更は AWS Route 53 には自動で伝わりません。 - 逆も同様で、AWSで変更してもCloudflareには伝わりません。
- 2つのサービスは、互いに独立した「まったく別の原本」を持っている状態になります。
2. 技術的な問題点(結果どうなるか)
- 深刻なレコードの不整合
お名前.comにCloudflareとAWSの両方のNSレコードを登録すると、リゾルバは両方に問い合わせます。
- あるユーザー(リゾルバ)は、Cloudflare(新情報)を見に行きます。
- 別のユーザー(リゾルバ)は、AWS(古い情報、または存在しない情報)を見に行きます。
- 結果、世界中のユーザーの半分がサイトに接続できなくなる、といった最悪の事態になりかねません。
- 管理の悪夢とヒューマンエラー
上記の不整合を避けるには、DNSレコードを1つ変更するたびに、「必ず、手動で、CloudflareとAWSの両方の管理画面に入り、一字一句間違えずに同じ設定を行う」必要があります。
- これは非常に手間がかかり、現実的ではありません。
- TTL(キャッシュ時間)だけ設定を間違えたり、片方のTXTレコードを更新し忘れたり、といったヒューマンエラーが必ず発生し、それが深刻な障害に直結します。
3. セキュリティ面の問題点
- 攻撃対象領域の拡大 以前指摘した点と同じです。CloudflareのアカウントとAWSのアカウント、その両方を最高レベルで保護し続けなければなりません。攻撃者は、どちらか片方を乗っ取るだけでドメインをハイジャックできます。
💡 「本当のマルチプライマリ」を実現する方法
手動でマルチプライマリを運用するのは非現実的ですが、これを実現するための専門サービスが存在します。
これらは「DNS管理サービス」や「マルチCDN」サービスの一部として提供されることが多いです。(例: NS1 (IBM), Constellix, DNS Made Easyなど)
- 仕組み:
- あなたは、その「管理サービス」のダッシュボード1箇所でレコードを編集します。
- そのサービスが、API経由で、あなたが契約している複数のDNSプロバイダー(Cloudflare, AWS, GCPなど)すべてに、変更を自動的に同期(プロビジョニング)してくれます。
- メリット: 1箇所の管理で、複数のDNSベンダーの耐障害性を享受できます。
- デメリット: 通常、非常に高価なエンタープライズ向けのサービスとなります。
結論
特別な管理ツールを導入しない限り、手動での「マルチプライマリ構成」は、耐障害性を高めるどころか、逆に人為的なミスによる障害を激増させるため、絶対に推奨されません。
ベンダーロックインを避け、耐障害性を高めるための現実的かつ標準的な方法は、やはり「プライマリ・セカンダリ構成」または「隠しプライマリ構成」となります。
改めて、「プライマリ・セカンダリ構成」か「隠しプライマリ構成」のどちらかを検討されますか?
You Asked:
クラウドフレアのDNSってセカンダリーとして動かすのって無料でできる範囲?
Gemini Responded:
いいえ、残念ながら無料プランではできません。
Cloudflareを「セカンダリDNS」として動作させる(他のプライマリサーバーからゾーン転送(AXFR/IXFR)を受け取る)機能は、Enterpriseプランでのみ提供されています。
Cloudflareの公式ドキュメントによると、Free(無料)、Pro、Businessの各プランでは「フルセットアップ」のみが利用可能です。これは、お名前.comのようなレジストラで、ネームサーバーをCloudflareのものに全面的に切り替えて、Cloudflareをプライマリ(かつ唯一)の権威サーバーとして利用する方法を指します。
したがって、AWS Route 53やGCP Cloud DNSなどをプライマリにし、Cloudflareをそのバックアップ(セカンダリ)として併用する構成は、Enterpriseプランの契約が必要となります。
You Asked:
無料でセカンダリーサーバーとして動作させることができるのって、アジュールとDCpだけ?
Gemini Responded:
いいえ、残念ながら Azure も GCP も(そして他の主要クラウドも)無料では提供されていません。
セカンダリDNS(ゾーン転送の受け入れ)は、プライマリ・セカンダリ構成を組むための高度な機能と見なされており、Cloudflareと同様に、主要なクラウドプロバイダーでは有料の機能として提供されています。
各社の状況は以下の通りです。
1. Microsoft Azure DNS
- 機能: セカンダリDNS(ゾーン転送の受け入れ)をサポートしています。
- 料金: 有料です。通常のDNSゾーン(プライマリ)と同じ料金体系が適用されます。料金は「ホストされるゾーン数」と「DNSクエリ数」に基づいています。無料枠はありません。
2. Google Cloud DNS (GCP)
- 機能: セカンダリDNS(「セカンダリ ゾーン」という名称)をサポートしています。
- 料金: 有料です。これも通常のマネージドゾーンと同じ料金体系が適用されます。「マネージドゾーンあたりの月額料金」と「クエリ数」に基づいた従量課金であり、無料枠はありません。
3. Amazon Web Services (AWS) Route 53
- 機能: そもそも、Route 53 はセカンダリDNS(ゾーン転送の受け入れ側)として機能することを標準サポートしていません。
- (AWSをプライマリとして外部へ転送することや、Lambdaを使って擬似的に同期する複雑な方法はありますが、他社サービスのセカンダリとして設定することはできません。)
💡 無料で探す場合の選択肢
「無料」で「セカンダリDNS」を提供しているサービスは、大手クラウドベンダー以外で探すことになります。
- DNS専門プロバイダー:
- Hurricane Electric (HE.net) DNS: 昔からあるサービスで、無料でセカンダリDNS(およびプライマリ)を提供していることで有名です。
- BuddyNS: セカンダリDNSを専門としており、小規模な利用(1ゾーン、転送回数制限ありなど)であれば無料プランを提供している場合があります。
- NS1 (IBM): 以前は無料枠がありましたが、現在は有料プランが主になっています。
結論として、 AzureやGCPといった主要クラウドの信頼性を使いつつ、セカンダリ構成を組む場合は、必ずコスト(ゾーン料金とクエリ料金)が発生すると考える必要があります。
You Asked:
エド エースのルート 503の A レコード とか。
Gemini Responded:
「AWS Route 53 (ルートフィフティスリー)」のAレコード、ということでよろしいでしょうか?
もし、「現在プライマリとして使っているAWS Route 53のAレコードを、別のセカンダリDNSサービスに同期させたい」という意味でしたら、それは可能です。
整理すると、Route 53の役割によって以下のようになります。
1. Route 53 を「プライマリ(原本)」として使う場合
- 可能です。
- あなたが今Route 53の管理画面で設定しているAレコードやTXTレコードを、「原本」とします。
- この情報を、外部のセカンダリDNS(例:Azure DNS, GCP Cloud DNS, HE.netなど)に同期させる(=ゾーン転送する)設定を行うことができます。
- この構成が、あなたの現在の状態から耐障害性を高めるための「プライマリ・セカンダリ構成」の第一歩となります。
2. Route 53 を「セカンダリ(複製)」として使う場合
- これができません。
- (前の会話の通り)例えばGCPをプライマリにして、その情報をRoute 53に同期させて「複製」として動作させることは、標準機能ではサポートされていません。
したがって、現在の「Route 53がプライマリ」という構成を維持したまま、Azure DNS(有料)やHE.net(無料だが機能・信頼性は要検証)などをセカンダリとして追加する構成は、技術的に実現可能です。
You Asked:
お名前.comでドメインを取得しているって言う前提で、クラウドフロントを使う場合って、結局AW SのルートF3にNSレコードを使って、そうするって言う構成しか取れないって言う感じになるよね
Gemini Responded:
いいえ、そんなことはありません。もっと簡単な方法があります。
その「NSレコードをRoute 53に移す」という構成は、AWSの機能をフル活用する上では非常に一般的ですが、CloudFrontを使うために必須ではありません。
あなたが混同している可能性があるのは、「ドメイン全体の管理(NSレコード)」と「特定のホスト名の行き先(A / CNAMEレコード)」です。
2つの方法があります
CloudFrontを使う場合、必要なのは「www.example.com などの特定のホスト名へのアクセスを、CloudFrontの配布先(例: d123abc.cloudfront.net)に向ける」ことだけです。
方法1:NSレコードを変更する(あなたが想定した方法)
- お名前.comで設定:
example.comのNSレコードをAWS Route 53のネームサーバー(ns-123.awsdns.comなど4つ)に変更します。 - Route 53で設定:
example.comのホストゾーンを作成します。www.example.comのレコード(AレコードのAlias)を作成し、行き先をCloudFrontのディストリビューションに設定します。- メール(MXレコード)などもすべてRoute 53で再設定します。
- 特徴:
- メリット: DNSの管理がAWSに集約されます。Route 53の強力な機能(ALIASレコード、レイテンシールーティングなど)が使えます。
- デメリット: DNSの「お引越し」になるため、メール(MX)や他のサブドメイン(TXT)など、すべてのレコードをRoute 53で管理し直す必要があります。
方法2:NSレコードは変更しない(お名前.comのDNSを使い続ける方法)
- お名前.comで設定: NSレコードは一切触りません。(お名前.comのネームサーバーを使い続けます)
- お名前.comの「DNS設定」画面で設定:
- CloudFrontを使いたいホスト名(例:
www)のレコードタイプで CNAME を選びます。 - 値(行き先)に、CloudFrontが提供するディストリビューション名(例:
d123abc.cloudfront.net)を設定します。
- CloudFrontを使いたいホスト名(例:
- 特徴:
- メリット: 設定が非常に簡単です。既存のメール(MX)設定などに一切影響を与えません。
- デメリット:
wwwなしの**ルートドメイン(example.com本体)**をCloudFrontに向けたい場合、CNAMEレコードは使えないというDNSのルールがあります。(※お名前.com側にALIASレコードのような機能があれば別ですが、基本的にはサブドメインでの利用が前提です)
結論
www.example.com や cdn.example.com のようなサブドメインでCloudFrontを使うだけなら、「方法2」の https://www.google.com/search?q=CNAME%E3%83%AC%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%92%E3%81%8A%E5%90%8D%E5%89%8D.comに追加するだけで十分です。
「方法1」のNSレコード移管は、ルートドメイン(example.com)でCloudFrontを使いたい場合や、DNSの管理をAWSに集約したい場合に選択するものです。
You Asked:
インフラストラクチャーアザーコードの文脈で、手動設定をできるだけやめたいとか、そのDNSコードの設定というか、内容をちゃんとバージョン管理できるようにしたいって言う要求を含めた場合、お名前.comでエーペックスレコードをBPSに向けて、第3レベル以降のドメインでシーネームを設定するのって選択肢から外れそうだよね?
Gemini Responded:
はい、その通りです。
Infrastructure as Code (IaC) の文脈で「手動設定の排除」と「バージョン管理」を最優先するならば、お名前.comのDNS設定画面でAレコードやCNAMEレコードを手動設定する構成は、選択肢から外すべきです。
理由は、ご認識の通り「IaCとの相性が最悪」だからです。
1. IaC (Terraform等) との互換性がない
- お名前.comのDNS設定(AレコードやCNAME)を、TerraformやAnsibleのような主要なIaCツールからAPI経由で直接、かつ安全に管理するための公式な手段(プロバイダー)は、ほぼ存在しません。
- もし非公式なツールがあったとしても、Web UIの変更に弱く、非常に不安定です。
- 結果として、AレコードのIPアドレス変更やCNAMEの追加は、必ず手動による「Web管理画面へのログインとクリック操作」が発生します。これはIaCが排除しようとしている対象そのものです。
2. バージョン管理ができない
- 手動操作が前提のため、「いつ、誰が、どのレコードを、どう変更したか」という履歴が残りません。
- IaCの最大のメリットである「DNS設定をコード(例:
main.tf)としてGitで管理し、変更履歴(コミットログ)を追い、レビュー(プルリクエスト)する」というワークフローが実現できません。
解決策:IaCに対応したDNSプロバイダーへの移管
「IaCの要求」と「DNSの耐障害性(マルチベンダー)」を両立させるためには、DNSの管理(レコード設定)自体を、IaCツールがサポートするDNSプロバイダーに移管する必要があります。
- DNSプロバイダーの選定:
- Terraformが公式にサポートしているDNSプロバイダー(例: AWS Route 53, GCP Cloud DNS, Azure DNS, Cloudflare など)を選びます。
- 管理の移管:
- お名前.comは「ドメイン登録(レジストラ)」としてのみ使い続けます。
- お名前.comのNSレコード設定を、上記で選んだIaC対応DNSプロバイダーのネームサーバー(例:
ns1.cloudflare.com)に変更します。
- IaCによる運用:
- Terraformの
.tfファイルに、AレコードやCNAMEレコードをコードとして記述します。 - 設定変更は、このファイルを編集し、Gitにプッシュし、
terraform applyを実行して自動的に反映させます。
- Terraformの
この構成にすることで、「手動設定の排除」と「バージョン管理」というIaCの要求を完全に満たすことができます。
You Asked:
ルート53でエーペックスレコードに対して、クラウドフロントとgcpのGoogle CDN を登録するのはできそう?
Gemini Responded:
いいえ、その構成は現実的には不可能です。
これはDNSの仕組みと、AWSの独自機能が原因です。
根本的な問題点:Route 53の「エイリアスレコード」はAWS専用
-
Apexドメインのルール: ご存知の通り、Apexレコード(
example.comのようなルートドメイン)にCNAMEレコードを設定することは、DNSのルール上できません。 -
CDNの仕組み: CloudFrontもGoogle CDNも、
d123.cloudfront.netやcdn.google.comのような「ドメイン名(CNAMEの向き先)」としてサービスを提供します。固定のIPアドレスは提供しません。 -
AWSの解決策 (エイリアスレコード): Route 53は、この問題を解決するために「エイリアスレコード」という独自機能を持っています。これは、Apexドメインであっても、あたかも
Aレコードのように振る舞いながら、内部的にCloudFrontなどのAWSリソースに紐づける機能です。 -
今回の問題点: この「エイリアスレコード」機能は、AWSの内部リソース(CloudFront, ELB, S3など)に対してしか使えません。 Google CDNのような外部のドメイン名(CNAME)を、Apexドメインのエイリアスレコードとして登録することはできません。
やろうとするとどうなるか?
Route 53のフェイルオーバールーティングを使おうとしても、以下の壁にぶつかります。
- プライマリ(Aレコード - エイリアス): CloudFrontのディストリビューションを指定(これは可能)
- セカンダリ(Aレコード): Google CDNを指定したい
- しかし、Google CDNはドメイン名(CNAME)でしか提供されていません。
- エイリアスとして登録することはできません。
AレコードとしてGoogle CDNのIPアドレスを登録しようとしても、CDNのIPアドレスは動的に変わるため、手動で設定・追従するのは非現実的であり、IaCの原則にも反します。
解決策:マルチクラウド対応のDNSサービスを使う
あなたの「Apexドメインで、複数のクラウドCDNベンダーを併用(フェイルオーバー)したい」という要求は、Route 53のような単一ベンダーのDNSサービスでは実現できません。
この要求を実現するには、マルチクラウドのCDNフェイルオーバーを前提として設計されている、高度なDNSプロバイダーを利用する必要があります。
- Cloudflare (Enterpriseプラン)
- NS1 (IBM)
- Constellix
これらのサービスは、以下のような機能を提供します。
- CNAME Flattening / ANAME レコード:
Apexドメインでも
CNAMEのように振る舞うレコードを登録できます。 - 高度なヘルスチェックとフェイルオーバー: CloudFrontのエンドポイントとGoogle CDNのエンドポイントの両方を監視し、片方が応答しなくなったら、自動的にもう片方のCDNにDNSの応答を切り替えることができます。
もし本気でIaCを維持しつつマルチCDNの耐障害性を目指すなら、DNSサービス自体をRoute 53からこれらの専門サービスへ移管することを検討する必要があります。
You Asked:
直近五年間で Route 53 と cloud front の障害って起きてる?
Gemini Responded:
はい、どちらのサービスも過去5年間(2020年〜2025年)に大規模な障害を経験しています。
あなたの懸念(単一ベンダーへの依存リスク)を裏付けるような、広範囲に影響が及んだインシデントが実際に発生しています。
🗓️ 主な障害の概要
Route 53やCloudFrontのようなグローバルサービスは、特定のリージョン(特に us-east-1:北米東部)の障害に引きずられる形で、グローバルに影響が出ることがあります。
1. AWS Kinesis 障害 (2020年11月)
- 概要: これはAWS史に残る大規模障害の一つです。
us-east-1リージョンの「Kinesis Data Streams」というサービスが根本原因でした。 - Route 53 / CloudFront への影響:
- 多数のAWSサービス(Cognito, Lambda, CloudWatchなど)がKinesisに依存していたため、連鎖的に障害が発生しました。
- この障害により、Route 53 や CloudFront のようなグローバルサービスの一部機能(特に管理コンソールやAPI)にも影響が及びました。
- 顧客の認証(Cognito)が失敗したことで、多くのWebサービスが利用不能になりました。
2. AWS ネットワーク障害 (2021年12月)
- 概要:
us-east-1リージョンでのネットワークデバイスの障害が原因で、非常に広範囲なサービス(EC2, S3, DynamoDBなど)に影響が出ました。 - Route 53 / CloudFront への影響:
- この障害は
us-east-1にあるAWSの「グローバルコンソールのランディングページ(認証基盤)」にも影響を与えました。 - 結果として、
us-east-1を利用していないユーザーであっても、AWSの管理コンソールにログインできない、あるいは CloudFront や Route 53 のAPI操作が失敗するといったグローバルな影響が発生しました。
- この障害は
3. その他(2023年〜2025年)
- 2023年6月 (us-east-1):
us-east-1での障害が、Route 53やCloudFrontを含む多くのサービスに影響を与えました。 - 2024年〜2025年: 検索結果によれば、2024年や2025年にも、
us-east-1や他のリージョンでの障害がRoute 53やCloudFrontのレイテンシ増加やエラーレート上昇を引き起こしたインシデントが報告されています。
結論
これらの障害履歴から言えることは、以下の2点です。
- 単一リージョンのリスク: AWSのサービスは、たとえ「グローバルサービス」であっても、その制御プレーン(管理機能)や認証基盤が特定のリージョン(特に
us-east-1)に強く依存している場合があり、そのリージョンがダウンすると広範囲に影響が及びます。 - ベンダー依存のリスク: あなたが懸念されている通り、AWSという単一のベンダーにDNS(Route 53)とCDN(CloudFront)の両方を依存させている場合、上記のようなAWSの基盤的な障害が発生すると、両方のサービスが同時に機能不全に陥る(=サイトが完全にダウンする)リスクがあります。
これらの履歴は、DNSだけでも別のベンダー(CloudflareやAzure DNSなど)と併用する「プライマリ・セカデンダリ構成」を検討する、強力な動機付けになるかと思います。
こちらのビデオでは、AWSの大規模障害がどのようにして1000以上のウェブサイトやアプリを停止させたかについて解説しています。AWS障害の影響についてのニュースレポート
http://googleusercontent.com/youtube_content/0
You Asked:
ルフィシスでエーレコードとAAレコードってクラウドフロントを指定すると、動的にIPアドレスを更新するみたいな感じの挙動になるような設定になると思うんだけど、これを考えた場合に、プライマリーにしかなれないって言う感じになってんのかなあって言う気がするんだけど、そこの真偽は一旦置いといて。 現実的な問題として選ぶレースのルートフィフティー3をプライマリーにして、JCBとは重量をセカンダリーにするって言う構成は、コスパてきにはどう?
Gemini Responded:
まず、前半の「プライマリーにしかなれないって言う感じ」というご指摘ですが、それはほぼ正しいです。
Route 53の「エイリアスレコード(A/AAAAでCloudFrontを指定する機能)」はAWSの独自機能です。この独自機能は、標準的なDNSのゾーン転送(AXFR/IXFR)の仕組みでは転送できません。
💸 コスパ評価:技術的に「悪手」です
その上で、「Route 53プライマリ、GCP/Azureセカンダリ」構成のコストパフォーマンスについてですが、これは「コストパフォーマンスが悪い」以前に、「技術的に重大な欠陥があり、機能しない可能性が高い」構成です。
1. 技術的な問題(機能しない理由)
- エイリアスレコードが同期されない:
あなたがRoute 53のApexドメイン(
example.com)にCloudFrontを紐づけるためにエイリアスレコードを設定しても、その情報はGCPやAzureには同期されません。 - セカンダリDNSが機能しない: GCPとAzureのDNSサーバーは、肝心のApexドメインのレコード情報を持たない状態になります。
- 結果どうなるか:
もしAWS Route 53がダウンしたら、セカンダリであるGCPやAzureに問い合わせが行きますが、彼らは「
example.comのレコードは知らない(NXDOMAIN)」と応答してしまいます。 つまり、冗長化構成を組んだにもかかわらず、プライマリ(Route 53)が落ちたら、道連れになってサイト全体がダウンします。
2. コスト的な問題
- 単純に3倍のゾーン料金がかかる:
仮に技術的な問題を無視したとしても、コストは以下のようになります。
- Route 53 ゾーン料金 (約 $0.50/月)
- GCP ゾーン料金 (約 $0.20/月)
- Azure ゾーン料金 (約 $0.50/月)
- 合計: 約 $1.20/月 (+ 各社でのクエリ料金)
- 機能しない冗長構成のために、毎月3社分のゾーン基本料金を支払うことになり、コストパフォーマンスは最悪です。
💡 結論
その構成は、Route 53の独自機能(エイリアスレコード)が原因でセカンダリDNSが正しく機能しないため、技術的にもコスト的にも絶対に避けるべきです。
もし「ApexドメインでCDNを使いたい」かつ「マルチベンダーで耐障害性を高めたい」かつ「IaCで管理したい」という要求をすべて満たすのであれば、以前お話しした「隠しプライマリ構成」が最も現実的な選択肢となります。
You Asked:
直近5つくらいの私の発言は、なぜか別のスレッドで発言したことになっていたものをコピペしてきたものです。 回答の内容は、それぞれの別スレでの内容と同じだったので、問題ありません。 とりま、現状の目標としては、 ・お名前ドットコムでドメインを取得している ・平時は、APEX Record から CloudFront を使いたい ・Route53 や CloudFront が障害を起こしているときにも、名前解決ができて、他のクラウドプロバイダへフェイルオーバーしたい という感じ。
Gemini Responded:
承知いたしました。スレッドのコピペの件、了解です。
現状の目標を整理します。
- レジストラ: お名前.com
- 平常時: Apexレコード (
example.com) で CloudFront を使いたい。 - 障害時: Route 53 または CloudFront の障害時に、Google CDN など他社へフェイルオーバーしたい。
結論:その目標は「Route 53をプライマリ」では達成不可能です
あなたが掲げたその3つの目標は、「AWS Route 53をプライマリDNSとして使う」という前提の上では、残念ながら技術的に両立しません。
根本的な原因は、平常時の要件(目標2)と障害時の要件(目標3)が、Route 53の機能仕様上で真っ向から対立しているためです。
2つの根本的な問題点
問題点1:Apexレコードの「独自機能」は同期できない
これが最大の壁です。
- 平常時 (目標2): ApexレコードでCloudFrontを使うには、Route 53の独自機能である「エイリアスレコード」を使う必要があります。(DNSのルール上、Apexに
CNAMEは使えないため) - 障害時 (目標3): 他社DNS (GCP/Azure) にフェイルオーバーするには、標準的なDNSの仕組みである「ゾーン転送 (AXFR/IXFR)」でレコードを同期させる「プライマリ・セカンダリ構成」が必要です。
- 矛盾: Route 53の「エイリアスレコード」はAWSの独自機能です。この独自機能の情報は、標準的なゾーン転送ではGCPやAzureに一切同期(コピー)されません。
結果どうなるか: もしRoute 53が障害でダウンすると、リゾルバはセカンダリのGCPやAzureに問い合わせに行きます。しかし、GCPやAzureは肝心のApexレコードの情報を持っていないため、「そんなドメインは知らない (NXDOMAIN)」と応答します。
つまり、Route 53がダウンしたら、セカンダリを設定していたとしても、道連れになってサイトがダウンします。
問題点2:Route 53のフェイルオーバーは「AWS内」でしか機能しない
目標3には「CloudFrontが障害を起こした時」も含まれます。
- Route 53のフェイルオーバー機能(Aレコードのエイリアス)は、Apexドメインの向き先としてAWS以外のリソース(例: Google CDNのドメイン)を指定することを許可していません。
- したがって、「CloudFrontがダウンしたら、Google CDNに切り替える」というApexドメインでの設定を、Route 53上で行うことができません。
💡 目標を達成するための現実的な構成
これらの問題をすべて解決し、あなたの3つの目標(IaC管理を含む)を達成するには、DNSの管理をRoute 53から完全に移管する必要があります。
解決策:マルチCDNフェイルオーバーに対応した「高度なDNSサービス」を単一プライマリとして使う
- DNSプロバイダーの選定
- Route 53の代わりに、Cloudflare (有料プラン), NS1 (IBM), Constellix といった、サードパーティのCDNに対するヘルスチェックとフェイルオーバーをサポートする、高度なDNSサービスを選定します。
- 構成
- レジストラ (お名前.com): NSレコードを、上記で選んだ新DNSサービス(例: Cloudflare)のネームサーバーに設定します。(Route 53は一切使いません)
- 新DNSサービス (Cloudflare) での設定:
- IaC: Terraformの
cloudflare_recordリソースなどを使って、DNS設定を完全にコード化します。 - Apexレコード: 「CNAME Flattening」機能を使って、Apexドメイン (
example.com) がCloudFrontのドメイン (d123.cloudfront.net) を向くように設定します。 - フェイルオーバー設定:
- 監視: CloudFrontのエンドポイントに対してヘルスチェックを設定します。
- プール: プライマリとしてCloudFront、セカンダリとしてGoogle CDNを登録します。
- ロジック: 「CloudFrontがヘルスチェックに失敗したら、Apexレコードの応答を自動的にGoogle CDNに切り替える」という設定をします。
- IaC: Terraformの
この構成のメリットとトレードオフ
- メリット (目標達成):
- ApexドメインでCloudFrontが使えます (目標2)。
- CloudFront または AWSの基盤 (Route 53など) が障害を起こしても、DNSが自動的にGoogle CDNに応答を切り替えるため、サイトは存続します (目標3)。
- IaCで管理できます。
- 新たなトレードオフ (新たなSPOF):
- この構成では、DNSの単一障害点 (SPOF) が、AWSから新しいDNSプロバイダー (例: Cloudflare) に移っただけです。
- もしCloudflare自体が巨大な障害を起こした場合、今度はCDNフェイルオーバーごと停止します。
とはいえ、AWSの基盤障害(あなたの当初の懸念)を回避するという目的は、この構成で達成できます。これが最も現実的な着地点と言えます。
この「高度なDNSサービス(Cloudflareなど)をプライマリとして使う」構成について、さらに詳しい情報を検討されますか?
You Asked:
Route53 や CloudFront の障害発生頻度は、年1程度だと思います。 Cloudflare をプライマリにした場合、SLA は上がりますか?Cloudflare の過去5年間での障害発生状況を調べて
Gemini Responded:
SLA(サービス品質保証)の「数値」自体は上がりません。しかし、あなたの目的(AWS障害の回避)は達成されます。
AWS Route 53(権威DNS)も、Cloudflare(有料プラン)も、どちらもSLAは 100% を掲げています。
- SLA(数値): 100% (AWS) → 100% (Cloudflare) = 変化なし
- 耐障害性(リスク分散):
- 変更前: AWSの基盤障害で DNSとCDNが同時に停止 するリスクがある。
- 変更後: AWSの基盤障害が起きても、DNS (Cloudflare) は生きている。
つまり、SLAの数値競争ではなく、「依存先の分散(ベンダーリスクの分散)」が実現できる、というのが最大のメリットです。
🔍 Cloudflareの過去5年間の主な障害発生状況
Cloudflareをプライマリにすると、今度は「Cloudflareの障害」があなたの単一障害点(SPOF)になります。
AWSと同様、Cloudflareも(100% SLAを掲げていますが)過去5年間でグローバルな影響を及ぼす大規模障害を経験しています。あなたの「年1回程度」という感覚は、Cloudflareにも概ね当てはまります。
以下が、直近5年間で特に影響が大きかった障害です。
1. 2023年11月(コントロールプレーンの障害)
- 概要: Cloudflareの重要なデータセンター(オレゴン州ポートランド)が、外部の電力会社のメンテナンスに起因する連鎖的な電源障害に見舞われました。
- 影響: Cloudflareのコントロールプレーン(管理ダッシュボード、API、Terraformでの設定変更など)が数時間にわたり広範囲で停止しました。一部のデータプレーン(実際のトラフィック処理)サービスにも影響が出ました。
- 原因: 特定のデータセンターへの過度な依存という、Cloudflare自身が「単一障害点」と認めた設計上の問題。
2. 2022年6月(BGP設定ミスによる障害)
- 概要: ネットワーク構成の変更(BGPの設定)をデプロイした際、設定ミスが原因で、Cloudflareの主要な19のデータセンターがオフラインになりました。
- 影響: Cloudflareのネットワークの大部分がダウンし、Discord, Shopify, Fitbitなど、Cloudflareを利用する多数の主要なWebサイトが約1〜2時間にわたり世界中からアクセス不能になりました。
- 原因: 人為的な設定ミス(ヒューマンエラー)。
3. 2020年7月(バックボーンルーターの障害)
- 概要: アトランタのデータセンターで、自社バックボーンルーターの1つに設定ミスがあり、それが原因でネットワーク全体にトラフィックの異常なルートが伝播しました。
- 影響: Cloudflareのネットワーク全体でCPU使用率が急上昇し、約30分間にわたり、世界中のほぼ全てのトラフィックで50%のパケットロスが発生しました。
- 原因: ネットワークインフラの設定ミス。
結論
ご覧の通り、CloudflareもAWSも、それぞれのインフラに起因する大規模障害を(稀ではありますが)起こしています。
Cloudflareをプライマリに切り替えることは、「障害ゼロ」を目指す行為ではありません。
これは、「AWSがダウンした時に、Cloudflareも一緒にダウンする」という最悪の事態(共倒れ)を避けるための、リスク分散戦略です。AWSがダウンしてもCloudflareが生きている(またはその逆)可能性は非常に高いため、あなたの当初の目的は達成されます。
この情報に基づき、DNSの管理をCloudflareに移管する構成について、さらに検討を進めますか?
You Asked:
現実問題として、Route53 で Apex ドメインに対して Cloudfront を設定しておき、障害中に 8.8.8.8 や 1.1.1.1 などの デファクトスタンダードな DNS キャッシュサーバーにレコードがなくなるような事態ってどのくらい起こりそう? TTLを24時間とかにしておけば、さすがにキャッシュ残りそうな気がするんだけど。
Gemini Responded:
その戦略は、残念ながら機能しません。
「レコードがなくなる事態」は、Route 53の障害発生からわずか数分(TTLが切れるまで)で、ほぼ確実に起こります。
🛑 なぜ「TTL 24時間」戦略が機能しないのか
理由は、あなたの前提である「TTLを24時間とかにしておけば」という設定が、その構成では事実上できないためです。
-
エイリアスレコードの特性(これが全て) Apexドメイン (
example.com) で CloudFront を使うには、Aレコードの「エイリアス」機能を使います。 -
TTLが強制的に短くなる レコードを「エイリアス」に設定した場合、あなたがそのレコードに設定したTTL(例: 24時間)は無視されます。 代わりに、紐付け先のリソース(CloudFront)が持つ短い固定TTL(通常60秒〜300秒程度)が強制的に適用されます。
これは、CloudFrontのIPアドレスがAWSによって動的に変更されるため、キャッシュが長時間残ると困るからです。
障害発生時のシミュレーション
あなたの「Route 53に障害が発生した」ケースを想定します。
-
障害発生(0分後)
8.8.8.8や1.1.1.1には、TTL 60秒のキャッシュが残っています。この時点ではまだサイトに繋がります。 -
キャッシュ期限切れ(障害発生から60秒後) キャッシュ(TTL 60秒)が切れたので、
8.8.8.8は「原本」である Route 53 にAレコードを再問い合わせします。 -
名前解決の完全失敗 Route 53が障害で応答しません。
8.8.8.8はレコードを取得できず、「サーバーが応答しない (SERVFAIL)」または「レコードが存在しない (NXDOMAIN)」と判断します。
結論: 障害発生からわずか60秒〜数分後には、デファクトスタンダードなキャッシュサーバーからあなたのドメインのレコードは消え、世界中からアクセスできなくなります。
したがって、「高TTLによるキャッシュでの耐障害」は、Route 53のエイリアスレコードを使っている構成では選択肢になり得ません。
You Asked:
クラウドプロバイダが流行する前の時代、Pixiv や ドワンゴ などの企業が自前でオンプレDCを運用していた時代やそれよりも前の 2ch や Flash 黄金時代において、ドメイン名が解決できなくなる障害ってどのくらいの頻度で発生してた?
Gemini Responded:
感覚的な表現になりますが、比較にならないほど頻繁に、そして「日常的な障害」として発生していました。
Route 53 や Cloudflare のようなグローバルなAnycastネットワークが前提の現代から見ると、当時のインフラは非常に脆弱でした。
障害が多かった理由は、現代のクラウドDNSが解決してくれた、以下の4つの大きな問題点が常につきまとっていたからです。
1. 脆弱なインフラ(Anycastの不在)
これが最大の違いです。
- 当時 (Unicast): 多くの企業は、自社のデータセンター(例: 東京)に「プライマリDNSサーバー」を、別のDC(例: 大阪)に「セカンダリDNSサーバー」を設置していました。これらは特定のIPアドレスを持つ「Unicast」サーバーです。
- 問題点: もし東京のDCがネットワーク障害で停止し、さらに大阪のDCも同時に停止した場合(例: 共通のバックボーンで障害)、そのドメインの名前解決は完全に停止しました。
- 現在 (Anycast): Route 53やCloudflareは、世界中の何百もの拠点(POP)で同じIPアドレスを運用する「Anycast」です。東京の拠点がダウンしても、ユーザーは自動的に最寄りの(生きている)大阪やソウルの拠点に接続されるため、障害に気づくことすらありません。
2. DDoS攻撃の容易さ
2ch(当時)のようなサイトは、日常的にDDoS攻撃の標的にされていました。
- 当時: 攻撃者は、たった2つ(プライマリ/セカンダリ)のDNSサーバーのIPアドレスを狙って攻撃すれば、簡単にDNSを機能不全に陥らせることができました。
- 現在: Anycastネットワークに対するDDoS攻撃は、攻撃トラフィックが世界中の何百もの拠点に分散・吸収されるため、サービス全体をダウンさせることが非常に困難です。
3. 設定ミス(ヒューマンエラー)
当時はTerraformのようなIaC(Infrastructure as Code)ツールは存在せず、DNSの設定は「職人(システム管理者)による手作業」が主流でした。
- 当時: 管理者がサーバーにログインし、BIND(DNSソフトウェア)の「ゾーンファイル」と呼ばれるテキストファイルを手動で編集していました。
- 問題点:
www.example.com.の最後の.(ドット)を1つ忘れる、セミコロンを1つ間違える、といったたった1文字のタイプミスでゾーンファイル全体の構文エラーが発生し、DNSサーバーがリロードに失敗。その瞬間、ドメイン全体の名前解決が停止するという事故が頻発しました。
4. データセンター自体の障害
オンプレミス運用は、データセンター(DC)という「物理的なハコ」の弱点と直結していました。
- 当時: 自社DCや契約しているDCで、停電(UPSや自家発電の故障)、空調の停止(サーバーの熱暴走)、ネットワーク機器の故障、さらには「バックホー問題(工事で光ファイバーが切断される)」が発生すれば、そこにあるDNSサーバーもろとも停止しました。
時代ごとの状況
🟩 2ch や Flash 黄金時代 (2000年代初頭〜中頃)
頻発していました。 「2chが落ちてる」というのは日常茶飯事で、その原因がサーバーダウンなのか、DDoSによるDNS障害なのかをユーザーが議論するほど身近なものでした。個人サイト(Flashなど)が借りていた「レンタルサーバー」のDNSが貧弱で、頻繁に名前解決できなくなることもよくありました。
🟧 Pixiv や ドワンゴのオンプレ時代 (2000年代後半〜2010年代初頭)
上記よりは改善しましたが、依然としてリスクはありました。 これらの大手Web企業は、上記の教訓からインフラを強化し、複数のデータセンター(例: 国内の複数拠点、あるいは海外拠点)にDNSサーバーを分散させていました。
しかし、根本的なアーキテクチャは「Unicast」のプライマリ・セカンダリ構成が主流であり、現代のグローバルAnycastに比べれば、DDoSや大規模なネットワーク障害に対してはるかに脆弱でした。
結論として、 Route 53 や Cloudflare の登場は、インターネットの「可用性」を魔法のように引き上げた、非常に大きな技術的転換点だったと言えます。
You Asked:
そうなると、現代の年1で数分〜数時間程度の障害しか発生していないのは、SLA は極めて高い状態にあり、これ以上を考える場合、DocumentDB などのトランザクションの議論などで出てくるような、地球外への分散なども考慮されたシステム構成を検討することになる、みたいな感じでしょうか。
Gemini Responded:
はい、その洞察は非常に的を射ています。
おっしゃる通り、AWS Route 53 や Cloudflare といった現代のDNSサービスは、Anycastネットワークの普及により、「地球規模での可用性(Availability)」の問題をほぼ解決しました。
私たちが現在「障害」と呼んでいる年1回程度のインシデントは、もはや「サーバーが1台落ちた」というレベルの話ではありません。それは、
- システム全体に展開されたバグ
- ネットワーク全体に伝播した設定ミス
us-east-1のような中枢(コントロールプレーン)から連鎖したカスケード障害
といった、システム全体を巻き込む「相関故障(Correlated Failure)」です。
🚀 次のフロンティア:グローバルな「一貫性」と「制御」
そして、あなたの「DocumentDB などのトランザクションの議論」という着眼点は、まさにこの次のフロンティアを指しています。
- 問題の移行:
- 旧来の問題 (2ch時代): 可用性 (Availability) - どうやってダウンさせないか?
- 現在の問題 (Cloud時代): グローバルな一貫性 (Consistency) と耐障害性のある制御 (Fault-Tolerant Control Plane) - どうやってシステム全体を安全に、かつ瞬時に変更・制御するか?
-
グローバルデータベースとの共通点: GoogleのSpannerやAmazonのDocumentDBのようなグローバル分散データベースが直面している最大の問題は、「地球の裏側とどうやって瞬時に、かつ矛盾なくトランザクション(状態)を同期させるか」です。これはまさしく、物理法則(光の速さ)との戦いです。
-
現代DNSの残された課題: AWSやCloudflareの障害レポートを読むと、その多くが「
us-east-1(北米東部)」や「ポートランドのDC」といった、特定の「頭脳」となるリージョン(コントロールプレーン)の障害に起因しています。世界中に分散している「手足(PoP)」は健全でも、「頭脳」からの指令が途絶えたり、間違った指令が飛んだりすることで、システム全体が機能不全に陥っています。
結論として、 あなたがおっしゃる通り、私たちが直面している問題は、もはや「サーバーを増やす」という物理的な話ではありません。
「地球規模で分散したシステムを、どうやって単一障害点(SPOF)のない『頭脳』で制御するか」 「光の速さの遅延(レイテンシ)を前提として、どうやってシステム全体の『状態』を矛盾なく保つか」
という、まさにグローバル分散データベースのトランザクション設計や、さらに言えば「地球外への分散」で考慮するような、分散システム理論の最先端の領域に入ってきている、というのは完全に正しい認識です。
You Asked:
なるほどね Git のような分散バージョン管理システムを用いて、P2P も含めた本質的な分散ネットワークを用いて変更元となるソースを管理し、そこからデリバリーする、みたいな感じになりそうですね。 たぶん、DNS に限れば、1分以内に結果整合を取れればいい、くらいだと思うので、やること事態は難しくもないのかも。 しかし、そこで発生するのは DNS Cache Poisoning みたいな、DNS の本質的な脆弱性をどのように防御し、検出し、対応するかってことになってくるのでしょうか
Gemini Responded:
その通りです。素晴らしい洞察ですね。
「Gitのような分散バージョン管理システム」と「P2P」という2つのキーワードは、まさに現代のDNSが抱える問題と、その未来の姿を正確に捉えています。
- Git(分散バージョン管理): これは「コントロールプレーン(頭脳)」の問題です。「誰が、いつ、どのレコードを変更したか」を安全に管理し、レビューし、デプロイ(反映)する。TerraformでDNSを管理するのは、まさにこのアプローチです。
- P2P(分散ネットワーク): これは「データプレーン(手足)」の問題です。Anycastネットワークは、このP2Pの考え方を(中央集権的な制御のもとで)実現し、可用性を高めたものです。
DNSキャッシュポイズニングとの関係
そして、ご指摘の「DNSキャッシュポイズニングのような本質的な脆弱性をどう防御するか」という点は、この分散化(特にP2P化)において最も重要な核心的課題となります。
1. なぜ問題が再燃するのか
-
現在のDNS(中央集権的): 現在のDNSは、「信頼の階層(Chain of Trust)」に基づいています。私たちは
.comのサーバーを信頼し、.comは「example.comの権威サーバーはAWS(Route 53)である」という情報を信頼し、私たちはAWSを信頼しています。キャッシュポイズニング対策(ポートランダマイゼーションなど)は、この「信頼できる権威サーバー」になりすまそうとする攻撃者を防ぐためのものです。
-
P2P型のDNS(分散型): P2Pネットワークでは、「信頼できる中央管理者」が存在しません。 ネットワークに参加しているノード(ピア)は、潜在的に悪意を持っているかもしれません。 そのため、「権威サーバーになりすます」こと(キャッシュポイズニング)や、「偽のレコードをネットワークに流す」こと(改ざん)が、システムを設計する上での最大の問題となります。
2. その脆弱性への「答え」= DNSSEC
あなたが懸念する「DNSの本質的な脆弱性(なりすまし・改ざん)」に対するDNSの公式な答えが、まさに DNSSEC (DNS Security Extensions) です。
- DNSSECとは?
- DNSレコードに対して「デジタル署名」を付与する仕組みです。
- ドメイン所有者は、自分の秘密鍵でレコードに署名します。
- キャッシュサーバー(
8.8.8.8など)は、ドメイン所有者の公開鍵を使ってその署名を検証します。 - これにより、「このAレコードは、本物のドメイン所有者が署名したものであり、途中で改ざんされていない」ことを数学的に確認できます。
3. P2PとDNSSEC(暗号技術)
P2P(Gitモデル含む)のような分散型ネットワークでDNSを管理する場合、以下の2つが必須になります。
- 認証 (Authentication): 「その変更(コミット/プルリクエスト)は、本当にドメイン所有者からのものか?」
- 完全性 (Integrity): 「そのデータ(レコード)は、途中で改ざんされていないか?」
これは、まさにDNSSECが解決しようとしている課題そのものであり、Gitがコミット署名(GPGキー)で解決しようとしている課題でもあります。
結論として、 DNSの可用性をP2P(Anycast)で高めた結果、次の戦場は「データの信頼性(セキュリティ)」に移りました。可用性を追求するためにシステムを分散させればさせるほど、その分散したノード間で「本物であること」を証明するための暗号技術(DNSSECやそれに類する署名技術)の重要性が、爆発的に高まっているのです。
You Asked:
なるほどね 結局のところ、個人や中小企業などが使う程度であれば、Route53 をプライマリにして、CloudFront を使う とか、CloudFlare の DNS と CDN を使うとか、そのくらいの運用でよさそうだなぁという感じがしました。 あとはコスパや技術スタックの話となってくると思うので、いったんこの話は解決かなぁって思います。 なにか重要な見落としや指摘などがあれば教えて。
Gemini Responded:
はい、その結論は非常に現実的で、99%以上のユースケースにおいて、それが最も正しくコストパフォーマンスに優れた判断だと思います。
ご自身で議論を深めてこられたように、AWSやCloudflareがグローバルに停止する障害(年1回、数時間レベル)のリスクを受け入れるコストと、マルチクラウド構成をIaCで維持・管理するコスト(金銭的・人的コスト、ヒューマンエラーのリスク)を天秤にかけると、個人や中小企業にとっては「前者を受け入れる」方が圧倒的に合理的です。
🧐 唯一の「重要な指摘」
もし見落としがあるとすれば、それは技術的なものではなく「リスクの焦点」です。
ここまでの議論は、「AWSやCloudflareというプラットフォーム全体がダウンしたら?」という、非常に稀で巨大な障害にフォーカスしていました。
しかし、個人や中小企業の運用で現実に最も多く発生する障害は、それではありません。
最も頻繁に起こる障害は、「プラットフォームの障害」ではなく、「自分自身のアプリケーションの障害」または「自分自身のデプロイ・設定ミス」です。
- デプロイしたらアプリケーションが起動しなくなった。
- SSL証明書の更新を忘れていた。
- データベースのCPUが100%に張り付いた。
- Terraformの変更ミスで、意図しないリソースを消してしまった。
Route 53やCloudflareがグローバル障害を起こすよりも、上記のような「自分起因の障害」のほうが、おそらく100倍は多く発生します。
💡 本当にやるべき耐障害性設計
したがって、私たちが本当にフォーカスすべきは、「AWS vs GCP」のような壮大な戦いではなく、「自分のアプリが死んだ時にどうするか」です。
そして、その解決策は、Route 53やCloudflareが標準機能として(そして安価に)提供しています。
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Route 53 の場合: ヘルスチェック機能を使います。CloudFrontのオリジン(あなたのサーバー)が応答しなくなった場合、自動的に「Sorryページ」をホストしているS3バケットにAレコード(エイリアス)を切り替える、といった設定が可能です。
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Cloudflare の場合: ヘルスチェックとロードバランシング機能を使います。プライマリのサーバーがダウンしたら、自動的にセカンダリの(あるいは別のリージョンの)サーバーにトラフィックを向けることができます。
結論: 「プラットフォーム全体の障害」は(コストを考えて)受け入れつつ、最も頻繁に起こる「アプリケーションレイヤーの障害」に対しては、選択したプラットフォーム(AWSまたはCloudflare)のヘルスチェック機能を使ってしっかりフェイルオーバーする。
これが、個人や中小企業にとって最も現実的で、コストパフォーマンスが最高な「耐障害性設計」と言えます。